「株式」、「株券」という言葉はよく耳にしますが、どんな意味なのでしょう。
「株式」と「株券」は一般的には同義語として使用されていますが、厳密にいうと「株式」は株式会社の株主としての権利(株主権)のことで、その権利を有価証券という形で表したものが「株券」です。
「株式」の起源は、1602年設立のオランダ東インド会社といわれています。15世紀から17世紀初めにかけてヨーロッパの人々は帆船で大洋をわたり、アジアやアメリカにいたる新航路を次々に開拓していきました。
1498年のバスコ・ダ・ガマの喜望峰航路発見以来、東インド貿易は、香辛料を求める人々に注目され、この貿易に乗り出そうとする商人たちによって設立された会社がオランダ東インド会社でした。
当時のヨーロッパでは、肉の匂いを消し、食欲を増進させる香辛料が珍重されていました。
航海には、船の建造費、乗組員の人件費など莫大な費用が必要でしたが、航海に成功すれば持ち帰った香辛料などの売買で大きな利益を得ることができます。しかし、失敗すれば投資した資金は海の藻屑と消えたのです。
したがって、個人で航海費用を負担するには金額的にも負担が大きく、リスクも大きすぎました。そこで、多くの商人から出資を募り、航海が成功した場合には出資金に比例して、その利益を分配する方法を採ったのです。その出資金を表す証書が、現在の「株券」に当たり、分配された利益が「配当金」に当たります。
また、この方法なら、航海が失敗した場合は出資金は戻りませんが、追加的な資金の提供は必要ではありませんでした(有限責任)。このような株式会社方式を採用する以前は、航海の失敗で莫大な借金を背負い、すべての財産を失う(無限責任)ことも多かったようです。
オランダ東インド会社は、1798年に解散となるまで約200年にわたって存続し、最盛期には商船150隻、戦艦40隻、兵員1万人を擁した国策会社として発展しました。
小額の資金を数多く集めて、大きな投資資金とし、資金提供者にとっては有限責任としたことで出資もし易くなります。この株式会社方式は、資本主義が大きく発展する原動力となりました。
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